エンジニアがミーティングを入れられる事を好まない事や、不機嫌になる事は英語圏や日本を問わず知られているかと思います。実質、私の周りにもこういった傾向がありますし、職人的に秀でてる方ほどこの傾向が強いと感じています。さて、これはなぜでしょうか?
友人の村瀬氏のtweetにPaul Grahamというプログラマ兼ベンチャーキャピタリスが書いた、Maker’s Schedule, Manager’s Scheduleという面白い記事へのリンクが貼られていたので、私なりに要約して紹介します。
二種類のスケジュール
プログラマやライターがミーティングを嫌う理由は彼らが他の人間とは違う種類のスケジュールで働いているからであるとGraham氏は語っています。氏いわく、スケジュールには二種類あります。
- Maker’s Schedule(物を作る者のスケジュール)
- Manager’s Schedule(管理する者のスケジュール)
Manager’s Scheduleは上司な人向けに組まれます。典型的な1時間刻みの予定・アポ表に基づいて組まれるものです。なにか用事が生じた場合は予定を柔軟に時間単位でずらすことができます。このスケジュールモデルでは、誰かと会うにはスケジュール表内の空いているスポットを探すか、予定を調整する “プラクティカルな問題解決” で対応できます。権力をもっている人ほどこのスケジュールモデルにそって行動しているわけですね。
かたや、Maker’s Scheduleでは同じ時間でも使い方が異なり、プログラマやライターのように何かを作る人間は1時間単位ではなく、「半日単位」で時間を活用することを好みます。プログラムを1時間単位で書く事は実質無理であり、むしろ、手をつけることすら無理だとGraham氏は述べています。
Maker’s Scheduleにそって働く人間にとって、ミーティングは災難です。一つのミーティングに参加するだけで、その日の午後が台無しになり得るし、ミーティングに参加することを意識・記憶しなくてはなりません。かたや、Manager’s Scheduleにそって働く人間はミーティング後の予定を一つずつ消化していけば良いので、何の問題・障害も生じません。
リズムが強制的に崩される
物を作る人にとって、ミーティングに参加するという事は「働くモード」を強制的に切り替えさせられることです。一つのミーティングにより、その日のプロダクティビティが下がることも有り得るし、予めミーティングが入っている事を知っているため、その日は集中する意味がないと判断し午前中から本気を出さないかもしれません。
技術者にとって、予定が入っていない日は嬉しい日であり、より野心的なプロジェクトに注力しようと考えます。逆をいうと、予定をいれられると、やる気がさがり、ほんの少しのモラル低下でやる気が失せます。
権力をもつ人間ほど、Manager’s Scheduleにそって働いており、自分の下にいる人間のスケジュールを権限で合わせる事ができます。優秀なマネージャはこの権限を自分の都合で行使せず、重要なプロジェクトに集中する時間が必要なスタッフがいるかを考慮します。
Graham氏とシリコンバレー
Graham氏とその仲間たちはVC界隈では珍しい、Maker’s Scheduleで動いていており、一日のスケジュールをオフィスアワー内とオフィスアワー外で使い別けています。その日の終わり際から投資先などの人たちとミーティングを行うことにより、お互いが邪魔にならないようにしているとの事です。そのために専用のスケジューリングプログラムを書いたと語っています。
シリコンバレーを含め、世界中ではビジネスマンたちが人脈作りのためのミーティングを行っています。こういった会はMaker’s Scheduleで動く人間には厳しく、一日を犠牲にする事を覚悟で参加するか、誘ってくれた人に失礼ではあるものの、参加を断るという二つの選択肢があります。どちらも嬉しくない選択肢なのですが、Graham氏自身、つい最近まで二つのスケジュールモデルの違いによる根本的な問題である事に気づいていませんでした。
この問題に対するソリューションとして、スケジュールが合わないと説明して丁寧にお断りする事と、もしかして将来的に異なるスケジューリングモデルの衝突への理解が広まり、今より問題にはならなくなるかもと語っています。
結局のところ
私はどうかって?個人的にミーティングは好きではありませんが、大人になっていく上でbite the bulletをしなくてはならない事の一つだと割り切っております。とはいえ、何回かのミーティングを経て、プロダクティビティ向上や有意義な情報共有にならないと感じた場合は上司に一つや二つ文句をいうかも(いまのところ恵まれてます)。人脈を広げる会に関しては行けるようであれば喜んで行きますが、今のところGraham氏と同様、丁寧にお断りする方法しか思い浮かびませんね。。。
こういう話って直感的には解っていたようで、あらためて文字にされて読むと解っていなかったな〜と再実感できました。修行が足りませんね